旅心
「変わったのはボクか、バッタか」
旅をする前に
「10日間言葉を発しちゃいけない瞑想」がインドにあるらしいと噂に聞いていた。
「ヴィパッサナー瞑想」
宗教ではなく、ブッタが悟りをどのように開いたかを体験できる瞑想。
とにかく誰ともコミュニケーションを取ってはいけないんだけど、それってどんな感覚なんだろう?
そんな興味で、ボクはインドのまるで牢獄のような場所に入った。
始まる前に聞かれたことは
「which do you like western toilet or eastern toilet」ということだけだった。
ボクは日本人だけど、洋式のトイレットを選び、部屋が決まった。
大きな壁で囲まれた敷地は、外界から切り取られた世界だった。
毎日4:00に起き、21:30までの間に12時間瞑想をする。
ブッタが悟りを開いた経緯を聞きながら、瞑想方法を学ぶんだけど
頭の中は、過去のことを思い出したり、未来のこと考えたり、後悔したことから、楽しかった思い出を振り返ったりしていた。
ただ3日もあれば、考え事もなくなっていく。
そして、1日目から日本人夫婦の方がリタイアしていなくなっていた。
時間が無限のように長く感じていた7日目のこと。
休憩の時間に、運動不足解消のため10mくらいの道を参加者がひたすら往復していた。
ボクもやってみようと歩いていると
普段気にすることもないアリが目に留まった。
アリってそういえば、足何本だっけ?
1本、2本、3本・・・・6本か。
花を見て、雌しべと雄しべを数えてみよう。
1,2,3,4・・・・
そんな時に、いきなりバッタが飛んできた!
わぁ!気持ち悪い!
そう思ったボクは、とっても不思議な感覚になった。
あれ?子供の頃はバッタを喜んで捕まえていたのに、今はバッタが気持ち悪くなっている。
日本にいるバッタと変わらないのに、なんでだろう??
変わったのは、バッタじゃなくて、ボクの心なんだ。
何かを嫌いになるってことは、自分の心の中に嫌なことが生まれたからなんだと気がついた。
好きもそうだ。
自分がバッタ気持ち悪いという条件づけをしているだけだった。
自分の好きや嫌いは、世界の真実ではなく、ボクが思い込んでいたこと。
そう思った時に、ボクは世界中をもっと好きになれる気がした。
もっともっとたくさんのものを好きになりたい。
その方が、きっと世界は楽しいだろうな。
ボクの心が平和になったら、世界は平和になった。
ジョードプル。インド。
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